おいしい醤油って?|美味しさを感じる仕組みと醤油のおいしさ

おいしい醤油って?|美味しさを感じる仕組みと醤油のおいしさ

はじめに –おいしい醤油って何だろう?

美味しいものに目がない人は多いでしょう。
目の前に美味しい料理とそうでない料理があるとしたら、間違いなく美味しい方を選ぶはずです。

では、その美味しさって何でしょうか?

味?匂い?食感?雰囲気?


ニシキ醤油では美味しい醤油を作るべく日々試行錯誤しています。しかしながら、美味しい醤油って一体なんだろう・・・そんな疑問を検証してみました。

美味しさを感じる仕組み

まずはそもそもの美味しさを感じる仕組みについて少し整理していきます。

おいしさとは?

「食べること飲むことにまつわる快感である。夏の暑い日、乾いた喉にいっぱいの冷たい水はとても美味しいことからもわかるように、味覚の要素がなくても美味しさは生じる。しかし、多くの場合、味覚が主役であり、嗅覚、触圧覚、温覚、冷覚、痛覚などが脇役として参加し、総合的な判断の結果、おいしさのグレードが決まる。」(食と味覚 ネスレ栄養科学会議監修)

もちろん、味が大事ですが、味以外も含めて総合的にみて、「おいしい!」と判断するようです。

では味覚はどうやって感じるかというと、

舌や喉にあるチューリップのような形をした味蕾(味覚受容器)に食物が持つ化学物質(味)が作用し、そこで感知された情報が味覚神経を介して脳に伝達されます。舌で感じる味は65%、上顎が10%、喉が25%だそうです。ビールでのどごしが大事なのは、舌を通り越して喉で味を感じるからということですね。

一方で、味覚だけが美味しさではない例を紹介します。

風邪で鼻が詰まっている時、味を感じないというのはよくあることです。香りがしないと、味は20%しかわからないそうです。

視覚もまた然りです。目隠しをして高級食材と安い食材を当てる番組がありますが、美食家や味に精通した人でも分からない場合がありますね。

このように、美味しさは味覚だけでなく、五感をフル活用してはじめてわかるものなのです。


また、五感以外にも、美味しさを感じられる要素はたくさんあります。
美味しい料理は結局は家庭の味と言われるように、思い出や経験が美味しさに大きく作用します。

美味しいと感じた味は、大脳皮質感覚野にインプットされ記憶されます。そしてまたその料理が出てきた際に、その情報と照らし合わせられ、ドーパミンが分泌されます。それが摂食中枢を活発化させ、思い出の味に箸が進むのです。


それに加えて、地域性も影響してきます。

気温の高い九州地方は生理的欲求から甘い醤油ができたと言われています。東北や関東の醤油は、雪が降るので塩分を取ることで体温を維持し、農作業ができないために保存食文化が発達し、塩辛いものに慣れていて味が濃いとも言わたりしますね。また、京料理でも使われる淡口醤油は伝統的な食文化と結びついて発展したと言われます。様々な要因で、地域ごとに使われている醤油は異なっています。

ご飯を作ってくれる人がどんな地域で育ったか、そのまた親がどこで育ってきたかによっても、自分が美味しい(慣れ親しんでいる)と感じる味が決まってきそうです。

その上で、日々家庭で食べる料理が経験値として蓄積され、自身のおいしい味を決めるベースとなるのです。

醤油のおいしさとは?

美味しさとはなんぞやを見ていきましたが、では醤油の美味しさの正体はなんでしょうか?

簡潔にいうと、「5原味(甘味・酸味・苦味・塩味・うま味)のバランスのとれた味、300種類とも言われる香りの成分が含まれている醤油の香り、美しい赤みを帯びた透き通った色」です。

これらができる過程はこちらを参照ください。
ニシキ醤油HP 醤油ができるまで

しょっぱさだけでない、舌の中で複雑に広がる深い味わい。
鼻に抜ける香ばしく豊かな香り、食欲をそそる色合い。

これらが揃って醤油の美味しさと言えるのでしょう。



焼きおにぎりに醤油を垂らした、あの香ばしいにおい…
焼き魚に、大根おろしと醤油を少したらして食べる、まろやかな味わい…



ぜひ、想像してみてください。


また、醤油などはそのまま食べるものではありません。

お刺身や冷奴など、食べ合わせる食材との相性も影響してくるでしょう。高級だから美味しいというものではなく、食材とマッチしてより美味しいと言えるのでしょう。

結局、一番おいしい醤油って?

「結局はどの醤油が一番美味しいんだろうか?」

社長に聞いてみました。

「根本的に醤油は人が美味しく感じられる調味料。その上で、数ある醤油の中でと言われたら、自分が美味しいと思うものでしょう。」

とのこと。

結局そこ?と言われるかもしれませんが、味覚には個体差もあり、日々食べている物も異なる以上、人それぞれ美味しいと感じるものは違うのです。

良し悪しではなく、適材適所

もちろん、調味料である以上、食材に合う合わないもあります。醤油単体がどうというより、食材に合うかどうかの適材適所の考えが大切になります。

いろいろ調べてはみましたが、やはり味覚での美味しさは大前提として、大切な人と日々食べている料理に使っている醤油が一番美味しいのではないかと思いました。

それでも、やはり美味しい醤油を追い求めたい気持ちもあります。醤油のプロに聞くと、やはりいろいろ比較してみることだと言います。今は、少量の醤油がたくさん売っています。いつもの醤油だけでなく、たまには別なお醤油も試してみてはいかがでしょうか?

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